認知症が進んでいた時期に作成された遺言書だったら?
認知症の高齢者の遺言書が有効かどうかについてですが、民法第963条は「遺言をするには、意思能力がなくてはならない」と規定しています。
よって、法律上は、自分の行為の結果をわきまえ、判断できる能力が必要であり、その能力は遺言をするときになくてはならないものであると考えられています。
つまり、遺言書を作成するときには、本人の判断能力がなければ無効であるということです。
祖父が遺言書を書いた時期は認知症の状態で正常なときがなかった場合は?
遺言書を書いた時期が、24時間ずっと認知症の状態であり、正常に戻ることがまったくなかったようなケースでは、遺言書の効力は無効になります。
なお、反対に、時々正常に戻っていたのであれば、その正常なときに遺言書を書けば有効になります。
認知症かどうかは成年後見人が証明するのですか?
認知症の老人に成年後見人がいる場合は、遺言書も成年後見人が判断する権利があると思われるかもしれませんが、そうではありません。
というのは、成年後見人は、騙されて財産をとられたりしないように本人を援助する役割を担った人であり、あくまでも本人が生きている間の役目しか負っていないからです。
つまり、遺言書は本人が亡くなった後のことですから、成年後見人は特別な権利を持っていないということです。
なお、認知症の老人が事理を弁識する能力を一時的に回復して、遺言書を残したい場合には、医師2人以上の立ち会いが必要になります。 |