夫婦共同で作成した遺言書は認められますか?
民法第975条では、遺言は、二人以上の者が同一の証書ですることはできないと規定されています。
なので、1つの遺言書で、2人以上の人が連名で遺言をすることはできません。
これは、人は生まれるときも1人ですが、あの世に行くときも1人であり、別々に亡くなるはずの夫婦が、遺言書を2人で作成して、もし残った者の気が変わったら厄介なことになるからです。
例えば、夫婦で自殺といったケースであっても、1人だけ助かることもあります。
また、残された妻が、夫は生前、長男に全財産を譲ると言っていたけれど、自分は本当は次男にあげたい、などと言い出したら、トラブルのもとになります。
さらに、遺言はいつでも取り消しができるものですから、もし共同遺言書が有効だとすると、亡くなった人の意思に反して、生きているほうが書き直してもOKということになってしまいます。
反対に、取り消し無効になったとしたら、残った人の生活環境が変化しても、遺言に従わなければならなくなります。
ということで、いずれにしても共同遺言書は作成すべきではないということになります。
もちろん、1枚の紙に、2人が別々に自筆証書遺言として書くことはかまいませんが、あくまでも遺言は1人で書くのが原則です。 |