長男が長い間家業を手伝い、店を大きくしたような場合、その父親が亡くなったときに、他の兄弟と相続分が同じということになりますと、店を大きくした長男の努力が全く反映されず、不公平となります。

そこで、法律は、寄与分という制度を認めたのです。

この寄与分という制度は、共同相続人の中で、被相続人の事業に関する労務の提供または財産の給付、被相続人の療養監護その他の方法によって、被相続人の財産の維持または増加について特別な寄与をした者には寄与分を認めるというものです。

とはいえ、この寄与の程度については、個々のケースによって異なりますので、寄与分がどれだけあるのかというのは非常に難しい問題です。

法律では、寄与分がどれだけあるのかというのは、共同相続人間の協議で決めることになっています。

ただし、協議が調わないときには、家庭裁判所が、次のような事情を考慮して決めることになります。

■寄与の時期
■寄与の方法および程度
■相続財産の額
■その他一切の事情

当然ながら、寄与は顕著なものでなければなりませんから、妻の通常の家事労働や、夫に対する看病などは特別の寄与には当たらないとされています。