遺贈・相続のトラブル法律ガイド



同時死亡では相続人になれないのかについて

父親Aと長男Bが飛行機事故で死亡した場合は?

次のようなケースの場合、誰がAさんの遺産相続人になれるのでしょうか?

■父親Aと長男Bが飛行機事故に遭い死亡したが、どちらが先に息を引き取ったかはわからない。
■長男Bは一人っ子であり、妻はいるけれど子供はまだいない。

民法第882条では、相続は、死亡によって開始すると規定されています。

この法律にのっとれば、父親Aさんが死亡した時刻から相続は開始されますが、一緒だった長男BがAさんより先に亡くなったのか、後に亡くなったのかによって相続は大きく変わってきます。

もし、Aさんが先に亡くなったのであれば、Aさんの財産は一度長男に相続され、さらに長男が亡くなった後で、長男の妻がその遺産を相続できることになります。

しかしながら、反対に、長男のほうが先に亡くなっていた場合はどうなるのでしょうか?

この場合は、後で亡くなったAさんの財産は、その妻とほかの直系血族が相続し、長男の妻には1円も渡らないことになってしまいます。

すなわたち、亡くなった時刻がたった1秒でも違うだけで、残された者への相続は、これほど違ってしまうということです。

そこで、このような不公平をなくすために、民法第32条の2では次のように規定しています。

⇒ 「死亡した複数の者のなかの一人が、他の者の死亡後なお生存していたことが明らかでないときは、これらの者は同時に死亡したものと推定する」

つまり、飛行機事故などで両者の死亡時刻が不明な場合は、同時刻に死亡したと判断するということです。

そして、この法律が適用されると、同時に死んだ2人は死亡者同士なので、相続の権利はお互いになくなることになります。

よって、上記のAさん一家のケースでは、Aさんと長男が同時に死亡したとみなされ、Aさんの財産を長男は相続することができず、また、長男の財産もAさんは相続できないということになります。


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