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養子は実親と養親の両方から遺産相続できるのかについて

養子はどちらの親の遺産を相続する権利があるのですか?

民法第727条では、次のように規定されています。

⇒ 「養子と養親およびその血族との間においては、養子縁組の日から、血族間におけるのと同一の親族関係を生ずる」

つまり、養子になると、法的には、養親の実子として扱われますので、遺産相続のときも実子と同様に扱われることになります。

また、もう一方の親、すなわち、血のつながった実の両親の遺産相続の権利も持っています。

こちらも血族として法律で保護されていますので、他の兄弟と同様に、遺産相続できることになります。

養子は実親と養親の両方から遺産相続できるということですか?

何となく納得のいかない話かもしれませんが、養子になると、実の親からも養子先からも相続の権利を得られるという、二組の両親からの相続の二重取りができるといえます。

ただし、民法第817条の2に規定されている「特別養子」になりますとその事情も変わってきます。

といいますのは、特別養子になると、実の親との関係がなくなり(817条の9)、養親の嫡出子、つまり実子として扱われることになりますので、実の親からの遺産を相続する権利がなくなるからです。

ちなみに、どうせ養子にするのであれば、実子として届出をしようと言って、戸籍上だけ実子にしてしまいますと、後でやっかいなことになりますので注意が必要です。

これは、戸籍上は実子でも養子縁組をしていなければ、法律上は親子関係がないとみなされてしまうからです。

つまり、本来の相続人から遺産を返せと請求されると拒否できず、養父母の遺産を相続できないことになってしまうのです。

なお、戸籍上だけの親子関係を、養親子関係に改めれば、相続権を持つことができます。


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