無効と取消はどう違うのですか?
無効と取消は、どちらも同じようなことを言っているようですが、その内容はかなり異なります。
無効も取消も、法律行為の効力を否定するということでは共通していますが、無効は法律行為の効力が初めからないのに対して、取消はいったんはそれを認め、のちに取消の意思表示があれば、法律行為の成立時までさかのぼって効力を否定するものです。
無効と取消の制限と効力について
無効は、法律上当然のことなので、その当事者はもちろん、第三者も主張することができますし、その期間にも制限はありません。
なので、無効を放置していても、時の経過によってその法律行為が有効になることはありません。
一方、取消のほうは、取り消すかどうかは本人の意思にかかっており、当事者の主観的な事情により左右されます。また、一定期間それをしなければ、有効と確定してしまいます。
無効の具体例は?
無効のわかりやすい例としては、公序良俗に違反する場合(90条)です。
例えば、賭け麻雀をして負けた場合は、その金額がいくら大きくても、たとえ借用書を書かされたとしても、支払う義務はありません。
これは、そもそも麻雀賭博そのものが公序良俗に反しているから「無効」なのです。
取消の具体例は?
取消は、行為能力を制限されている成年被後見人や未成年者が不動産を売るといった契約をした場合や、詐欺・強迫によりなされた(96条)場合に、効果を否定するものです。
なお、取消をした後は、初めから無効だったことになります。 |